住人Mが愛する骨董品
間取り3DKでの精神修行の果てに住人Mは物欲を放棄した。「不自由を常と思えば不足なし」をモットーに仙人の域に達したと自負している。そのため一時の迷いでMが購入した様々な嗜好品は無残にもそのほとんどが処分されたり売却された。
そんな彼が捨てずに残しているものがある。古いスチールカメラだ。小旅行やお散歩の際には黒い合皮のケースに入れてポーチに忍ばせている。
シンプルライフとカメラは相性が良くインテリア雑誌のリビングにもさり気なく置かれていたりする。住人Mにとってもカメラは場所を取らず骨董品としても映えるので、いつもダイニングの片隅に置いておきたい存在と考えている。